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セルフキャリアドック導入推進、キャリアコンサルティング、及び有料職業紹介事業を通じて、「人」にかかわる様々な課題解決にワンストップで取り組んで参ります。

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 一般のビジネスマンであれば、何度も耳にする言葉であると思いますが、「プロティアン・キャリア」の概念を最初に唱えたのがホールで、法政大学の田中研之輔教授によって日本国内に広められた概念と理解しています。

 詳しくは、無数に出版されている書物を御覧頂けましたらと存じますが、要約すると

(1)キャリアは個人によって管理される。(組織によってではない。)
(2)キャリアは生涯を通じた経験・スキル・学習・転機・アイデンティティの変化の連続である

というものです。この中で(1)については本ブログでも散々触れていることもあり、もはや異論を挟む余地はないと思います。

 一方で(2)についても反論の余地はないですが、一点だけ補足をすると、(2)を実現するには「支援者」の存在が決定的に重要になります。

 よほど腕がある職人や芸術家、絶対的な時の権力者や資本家なら別ですが、ほとんど全ての方において、「プロティアン・キャリア」を実践するには本人だけの力では「不可能」ということだけ補足します。

 ここまで、色々な理論を紹介し、また当方の経験を踏まえて補足して参りましたが、詰まるところ、キャリア構築において最も大切なのは「いかに支援者を作れるか?に帰着する」というのが現時点での見解です。(無論、今後、変わることもあるかもしれませんが)

 働く上で悩みに直面した際に、キャリアに関する各理論を紐解く方はまず「いない」と思いますが、意外と色々な示唆を与えてくれるものです。また最初に触れましたが、キャリア構築で上手くいった(もしくは上手くいかなかった)要因や背景については、キャリアに関する理論でほぼ説明できます。(これも当たり前と言えば当たり前の話ですが。)

 次回からは、学会(日本キャリアデザイン学会、日本キャリア教育学会)や協会(日本キャリア開発協会)研究事例や発表事例を挙げて、皆さまのキャリア構築のお役に立てられればと思います。

「キャリアとはプロセス(仕事に関連した経験の連続)である。」

 補足をするならば、「結果だけではない」ということです。
 結果だけにフォーカスしたキャリアはおそらく退屈なものになると思いますし、持続しないケースが多いようですし、右肩上がりの時代が終わった日本社会では、より鬱蒼としたものになるでしょう。

(昨今の当方の業務で、企業における人事評価の場面で「結果だけでなくプロセスも見ましょう」というお題目は今まで何度も耳に入っていますが、本当に実践できている所は少数です。)

 上記で言うところの「プロセス」は、JCDAの「経験代謝」の考えにも相通ずる所があり、当方も激しく共感する部分です。

 いずれにせよ、「仕事に関連した経験」をしないと「キャリア」を構築することができないのは言うまでもありません。その観点で言うと、昨今の「リスキリング」の評価は非常に難しいのではと実感しています。(無論、リスキリングそのものは絶対必要ですが。)

「キャリアには主観的側面(個人の成長に伴って変化する価値観、態度、動機)と客観的側面(特定の仕事のオファーを受け入れたり拒否したりというような観察可能な選択行動)があり、両方を考慮する必要がある。」

 上記の中で、「客観的側面」の括弧書きの内容がわかりにくい表現になっていますが、内面と行動(あるいは結果)の二面でとらえましょう、ということでご理解頂けましたらと思います。

 キャリアカウンセラーの世界では、まず最初に「主観的側面」に焦点を当てて、その後、行動(や結果)つまり「客観的側面」について尋ね、その二面を重ねた上で本人を見るというのは当たり前の話ですが、某業界のデファクトスタンダードは客観的側面「のみ」でその人を評価するようです。

 (繰り返しで恐縮ですが、)客観的側面だけで評価するほうが、「楽」で「効率的」、且つ「誰でもできる」のは事実です。が、そのような評価であれば、いずれAIに代替されるでしょうか。

 一方で働く側においても、客観的側面の背景や裏にあるものは何かを見抜く力量が問われているのも言うまでもありません。

「キャリアに成功や失敗があるとしても、それはそのキャリアを歩む本人によって評価される。」

 これも極めて重要な観点です。
 具体的な数字で示すことのできる点は別として、その時期や、キャリアの節目で何を得たか?は、実は本人しか解らない部分が大きいのもまたキャリアの本質です。何度か触れましたが、キャリアの解釈は主観的であって然るべきです。(無論、ルール違反や脱法行為、不正は論外ですが。)

 とかく履歴書の記載項目や職歴書の客観的事実を一瞥しただけで、その人を評価するコンサルタントも多い昨今です(し、そのほうが楽で手っ取り早いのも事実です)が、働く側本人のキャリアへの本質的理解や評価は、本人による自問自答や内省、あるいはキャリアカウンセラーなどの外部からの問いかけによってしか出現しないと理解しています。

 当方の経験上、「成功から何を得たか?」を自慢する方よりも、「失敗から何を学んだか?」の場数が多い方のほうが、後々、良いキャリアになっているようです。

「組織階層的に上方へ移行するのがキャリアであるという視点はとらない。」

 年功序列の日本型の人事制度がすでに過去のものになっていることは申すまでもありませんし、そもそも「管理職」の絶対ポスト数や、若年者人口が著しく減少する日本社会では、「管理職」ありきの組織では成り立たない可能性すらあります。
一般的に(名称は組織によって色々あると思いますが)係長クラスよりも課長クラス、課長クラスよりも部長クラスのほうの給与が高くなり、給与が高いほうがよい生活を送れる(と考える方が多い)ので、「組織階層的に上方へ移行する」のが望ましい、もしくはそれを希望する方が多い模様です。

 が、昨今、専門職としてのキャリアを提示する企業がやたらと増えているように、「収入の問題さえ」働く側がクリアできるのであれば、「一生涯」役職無しでも何ら問題はありません。ラフな言い方で表現するなら、客が付いている、技術がある、売り方を知っているなど本人特有の何かがあれば、何ら問題ないと言えるでしょう。

 特にこれから社会に出る方や、あと数十年働く必要のある方は、この観点を持っておく必要があると思います。

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