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セルフキャリアドック導入推進、キャリアコンサルティング、及び有料職業紹介事業を通じて、「人」にかかわる様々な課題解決にワンストップで取り組んで参ります。

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「仕事とは『自分の能力(最も得意なこと)』や『興味(最もやりたいこと)』『価値(本当に重要だとおもっていること)』を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。」

 この定義にも異論をはさむ余地は全くありません。後日、触れますが、エドガー・H・シャイン氏(1928年 – 2023年)も同じようなことを唱えています。

 勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、キャリア理論においてはほとんどが心理学的なアプローチによるものです。しかしながら、実際の職業選択(もしくは会社選び)では多くの場合、「そんなもの」よりも「給与、勤務地、休日日数、各種手当、役職、福利厚生、今後予想される想定年収の面積や根拠の無いキャリアパス、あるいはありもしないストックオプションやストック何とか等の」求人票もしくはオファーレター提示事項で判断される方がほとんどです。(これは人材紹介会社の得意分野です。)

 無論、働く側にも背に腹を変えられない事情はあるかと思いますし、それ自体を否定するつもりは毛頭ありません。が、無数の早期離職者(当方の認識では勤続3年以内の離職)と面談をさせて頂いた当方の立場からコメントすると、表面的な職業選択によって後悔する人が多くなっていることは、いささか問題ではないかと思います。

 また、早期離職者において、職業選択時に問題があった場合と、その後の働き方に問題があった場合に大別されるように思います。職業選択においてはスーパー氏を筆頭に多くのキャリア理論がありますが、「その後の働き方」をカバーできる理論は(巷の自己啓発本は別として)、まだまだ確立されていないのが実態です。

「自己概念が不明確もしくは低いものであると、職業選択も不適切であったり不満足なものになってしまう。」

 おそらくほとんどの方が同意する定義ではと思います。この文章で、一点、「自己概念」が「低い」とあります。当方の理解では自己概念に「高低」があるとは思えませんが、この文脈では「否定的な自己概念」と言い換えたほうが分かりやすいかと思います。

 特に最近、高校、専門学校、大学といった高等教育機関でのキャリア支援やキャリア教育が充実しているようです。ですが、一方でこの弊害も増えているというのが当方が実務を行う上での実感です。

 つまり、社会に出る前に「徹底的な自己理解」を施している余り、いざ、実際に社会に出て仕事をすると「こんなはずではなかった」「この環境では自分は活かせない」「自己概念と一致しない」などの理由で、すぐに勤務先を変えようとする方々が多いという弊害です。

 無論、自己概念の理解やキャリアの解釈は働く本人の主観で全く問題ありません。が、(ほとんどが会社員として勤務している日本社会では)雇う側からすると、たまったものではないでしょう。加えて、今の時代、ほんの数か月や数年働いたところで、「本質的な」結果の出る仕事や、「本質的に」身につくスキルなど、そうありません。

 「職業選択時」においては自己概念の理解は必要ですが、組織や会社でどのように働くか?といった場合には自己理解だけでは不十分でプラスアルファの要素が必要、というのが多くの組織人から教えて頂いた現段階での理解です。

日本マンパワー社のキャリアコンサルタント養成講座では、スーパーの自己概念の説明において、職業選択との兼ね合いで以下のように述べています。(そのまま転記します。)

①自己概念が不明確もしくは低いものであると、職業選択も不適切であったり不満足なものになってしまう。

②仕事とは「自分の能力(最も得意なこと)」や「興味(最もやりたいこと)」「価値(本当に重要だとおもっていること)」を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。

③適切な職業選択には肯定的な自己概念が必要である。この肯定的な自己概念を形成するためには、日常接している周囲の人(家族、生徒、従業員、友人など)から与えられるフィードバックが極めて重要である。

(日本マンパワー編 キャリアカウンセラー養成講座 テキスト3 「キャリアカウンセリングの理論」 18ページ)

いずれも、職業を「選択」する上(もしくは会社を選ぶ際、あるいは入社を決断する際)においては、重要な指摘であるかと思われます。おそらく異論をはさむ方もおられないでしょう。ですが、「入社後の働き方」を念頭に置いた際には、「自己概念の明確化」だけでは不十分な例が多いと、当方が実務を行う上で日々実感している次第です。

次回、その点について上記の①、②、③各々の観点から補足をします。

 当方が所属するJCDAで学ぶキャリアカウンセリングの基本中の基本理論で、且つ、各団体のキャリアコンサルタントの養成講座でも、必ず最初のほうで触れることになるのが、ドナルド・E・スーパー(Super,D.E 1910~1994 以下、スーパー)の理論です。

詳細は、専門書やWEBにお任せするとして、スーパーが唱える「自己概念」について、私見を交えながら、少し説明します。

JCDAでは「自己概念」を「自分と自分を含む世界をどう捉えるかの見方、考え方」と定義していますが、それでは分かりにくいので、当方は単純に「価値観や職業観に近いもの」と日常の業務では話しています。また、自己概念は絶えず変化(成長もしくは退化)するものです。

 有名な「レンガ職人の話」を持ち出すまでもなく、例えば、当方の業務で面談した相談者のほとんどが敬遠し、ストレスの主因になっている「テレアポ」についても、「会社や上司の指示だからやらされている作業」と捉えるか、「潜在顧客と直に触れることのできるダイレクトマーケティングの実践」と捉えるかで、自己概念は良くも悪くも大きく変化します。

 さらに、「社会構成主義」(気になる方は、検索してみてください。)の立場に立つと、人間(特に会社員や組織に属する人)は、間違いなく環境に左右されます。

 よって、職業選択におけるマッチングで大事なのは、AIでも判断できる「スキル」「経験」、と、いわゆる人材業界でいう「スペック」とのマッチング「でなく」、その人の「自己概念」と働く環境(社風、上司・同僚・部下も含めた人)とのマッチングだと認識しています。

明けましておめでとうございます。

当事務所も「本格的に」2024年から稼働して参ります。

その第一弾として、こちらのホームページを使って、日々何らかの情報を発信して参ります。

今日まで、20年間、業務内外問わず、実に多くの方のキャリアヒストリー(もしくはナラティブ)に触れ、また同じくらい多くの方の仕事上の悩みや「転職」希望に触れて参りました。

良いお話や成功体験もあれば、実に「もったいない」と思うお話も多くありますが、その因果関係は、実はキャリアに関する理論でほとんどが説明できるというのが当方は認識しています。

キャリアに関する理論のエッセンスは、現在のキャリアコンサルタント養成講座でほぼ学べますが、一般の方々が触れる機会はあまり無いのも実態です。

よって、まずはキャリアの理論及び、当方に寄せられた相談内容やキャリアの成功例も紹介しながら、この先行き不透明な時代に「どのような働き方をするのが良いか」の話題提供が本ブログでできればと考えております。

どうぞ宜しくお願い致します。

※極力、毎日更新するように努めます。

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