4. ドナルド・E・スーパーの理論(自己概念と職業選択についてⅢ)
「仕事とは『自分の能力(最も得意なこと)』や『興味(最もやりたいこと)』『価値(本当に重要だとおもっていること)』を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。」
この定義にも異論をはさむ余地は全くありません。後日、触れますが、エドガー・H・シャイン氏(1928年 – 2023年)も同じようなことを唱えています。
勘の良い方ならお気づきかもしれませんが、キャリア理論においてはほとんどが心理学的なアプローチによるものです。しかしながら、実際の職業選択(もしくは会社選び)では多くの場合、「そんなもの」よりも「給与、勤務地、休日日数、各種手当、役職、福利厚生、今後予想される想定年収の面積や根拠の無いキャリアパス、あるいはありもしないストックオプションやストック何とか等の」求人票もしくはオファーレター提示事項で判断される方がほとんどです。(これは人材紹介会社の得意分野です。)
無論、働く側にも背に腹を変えられない事情はあるかと思いますし、それ自体を否定するつもりは毛頭ありません。が、無数の早期離職者(当方の認識では勤続3年以内の離職)と面談をさせて頂いた当方の立場からコメントすると、表面的な職業選択によって後悔する人が多くなっていることは、いささか問題ではないかと思います。
また、早期離職者において、職業選択時に問題があった場合と、その後の働き方に問題があった場合に大別されるように思います。職業選択においてはスーパー氏を筆頭に多くのキャリア理論がありますが、「その後の働き方」をカバーできる理論は(巷の自己啓発本は別として)、まだまだ確立されていないのが実態です。