7. ドナルド・E・スーパーの理論(キャリアのアーチモデル)
スーパーは晩年に自らの理論の集大成として、「アーチモデル」を発表しています。(これも詳細は割愛します。ご興味のある方は「スーパー キャリアアーチ」で検索してみて下さい。)
これも実に上手く視覚的にキャリアの決定要因を示しているものです。図を御覧頂けた方は、左側に個人の内的な特性、右側に(広い意味での)社会の外的な特性が描かれてあり、これら様々な要因が個人のキャリア構築に作用するということもご理解頂けるかと思います。
この考え方についても、おそらく反論の余地は無いかと思います。一方で、この考え方で大切なのは、「右側を変化させるのは働く個人で如何様にも可能だが、左側を変化させるのはほぼ無理」ということです。
冷静になって考えるとさほど難しいことではないと思います。何か困難があった場合に、外的要因(会社が・・・、上司が・・・、製品が・・・部下が・・・等々)にその理由を求めて時間を浪費するよりも、自らのマインドセットを行ったほうが、その解決には上手くいくケースが多いことは巷の自己啓発本やビジネス書が示唆する通りです。
それを踏まえた上ですが、当方の問題意識として、転職(勤務先を変えること)によってその外的要因を「安易」に変えようと試みる方が多すぎるのではというのがあります。(それを急かす社会風潮もあるのかもしれませんが。)
繰り返しますが、「キャリア構築に作用する外的要因を個人の力で変化させるのは『ほぼ』無理」ですし、試みたとしてもかなりの確率で「失敗」します。当方の経験上、例外は「政治力」か「資本の力」がある場合のみです。(そんな例には、ほとんどの方が当てはまらないと思います。)