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セルフキャリアドック導入推進、キャリアコンサルティング、及び有料職業紹介事業を通じて、「人」にかかわる様々な課題解決にワンストップで取り組んで参ります。

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人は何歳になっても学習する必要があるのは申すまでもありません。(しかしながらそうでない人も散見されるのも事実ですが)。

クランボルツは学習のタイプを「道具的学習経験」と「連合的学習経験」(もう少し分かりやすい日本語訳が欲しいところですが・・・)の2つに分けています。各々の詳細は検索、もしくは専門書を紐解いてみてください。

 当方が注目しているのは後者の「連合的学習経験」です。日本マンパワーのキャリアカウンセラー養成講座では「感情的に中立だった出来事が特定の感情と結びついたときに起こる」と記されています。

 であれば、会社員にせよ事業家にせよ社長にせよフリーランスにせよ、働く人のキャリアは、この連合的「学習経験」の連続に他なりません。

 無論、キャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントは、相談者(あるいは求職者、人材紹介でいうキャンディデート)の「先天的資質」と「環境条件や出来事」を変えることはできませんが、この学習経験(当然ながらプラスに働く形での)を支援することはできます。

社員の定着に課題のある企業を眺めると、管理職(もしくは上長)や人事部門にこの理解があれば、形だけでない人材開発や組織開発が進むと思う次第です。

キャリアカウンセリングの書物を読み進めると、必ず、遭遇することになるのがジョン.D.クランボルツ(もしくはクルンボルツ)(Krumboltz.J.D  1928~2019 以下、クランボルツ)の理論です。

クランボルツは職業選択及びキャリア・ディベロップメントに影響を与えるものは以下の4つであるとしています。

①先天的な資質

②環境条件や出来事

③学習経験

④課題へのアプローチスキル(意思決定スキル)

上記の4つにおいて、①と②は働く本人だけでは変えようがないので「受け入れるしかない」というがクランボルツのスタンスです。おそらくこの点については多くの方は同意頂けるのではと思います。(しかしながら、特に2を転職によって変えることができると「誤解」している方、また、宣伝やテレビCMなどによって「誤解をさせようとしている一部の企業」が存在するのは若干気になる部分ではありますが。)

よって、①と②は改めて補足するまでも無いと思われますので、③と④について、当方の経験を交えながら補足をして参ります。

 スーパーは晩年に自らの理論の集大成として、「アーチモデル」を発表しています。(これも詳細は割愛します。ご興味のある方は「スーパー キャリアアーチ」で検索してみて下さい。)

 これも実に上手く視覚的にキャリアの決定要因を示しているものです。図を御覧頂けた方は、左側に個人の内的な特性、右側に(広い意味での)社会の外的な特性が描かれてあり、これら様々な要因が個人のキャリア構築に作用するということもご理解頂けるかと思います。

 この考え方についても、おそらく反論の余地は無いかと思います。一方で、この考え方で大切なのは、「右側を変化させるのは働く個人で如何様にも可能だが、左側を変化させるのはほぼ無理」ということです。

 冷静になって考えるとさほど難しいことではないと思います。何か困難があった場合に、外的要因(会社が・・・、上司が・・・、製品が・・・部下が・・・等々)にその理由を求めて時間を浪費するよりも、自らのマインドセットを行ったほうが、その解決には上手くいくケースが多いことは巷の自己啓発本やビジネス書が示唆する通りです。

 それを踏まえた上ですが、当方の問題意識として、転職(勤務先を変えること)によってその外的要因を「安易」に変えようと試みる方が多すぎるのではというのがあります。(それを急かす社会風潮もあるのかもしれませんが。)

 繰り返しますが、「キャリア構築に作用する外的要因を個人の力で変化させるのは『ほぼ』無理」ですし、試みたとしてもかなりの確率で「失敗」します。当方の経験上、例外は「政治力」か「資本の力」がある場合のみです。(そんな例には、ほとんどの方が当てはまらないと思います。) 

スーパーが唱えた理論の双璧を成すのが「ライフステージ」と「ライフロール」です。(詳細は割愛します。気になる方は「スーパー ライフステージOrライフロールで検索してください。」

日本マンパワーのキャリアコンサルタント養成講座のテキストでは、前者を「キャリアの段階」、後者を「キャリアの役割」と、実に上手い具合に記しています。

いずれも長年の研究蓄積によって提唱された不変の真理です。無論、時代が変わっていますのでライフステージにも多少の年齢幅の修正は必要ですが、この段階を踏むことの重要性や大切さをないがしろにすることはできないでしょう。

いわゆる「タイパ」を重視し、性急に出世したがる世代や、それを急かす業界、新興企業群には、このスーパーの「ライフステージ」の意味をご理解頂きたいところです。

また、「ライフロール」を当方の実務経験の観点から補足すると、年齢とともにライフロールにおける役割の「配分」は変わってきます。ましていわんや人生の転機(就職、結婚、出産、失業、転職)が起こると、本人の意図に関わらず「ライフロール」の役割の配分は変化せざるを得ません。

よって、転職という人生の転機の場面において、「ライフロール」を従前と全く同じように維持しようとするのは不可能です。それを知らずに安易に転職先に飛びついて(もしくは飛びつくように第三者から仕向けられて)後悔する人が多いのも、また現実です。

「適切な職業選択には肯定的な自己概念が必要である。この肯定的な自己概念を形成するためには、日常接している周囲の人(家族、生徒、従業員、友人など)から与えられるフィードバックが極めて重要である。」

 

 改めてこの文章を眺めると、言い得て妙であると思います。無論、キャリアカウンセラーの存在理由もここに示されていますが、これは職業選択時だけでなく、その後のキャリア構築においても、特に後半部分が決定的に重要であると確信しています。

 一言でいうと、フィードバックを頂ける「支援者」の存在があるか否かで、キャリアは良くも悪くも如何様にでもなります。会社員であろうと、フリーランスであろうと、本人のスキルや経験が無くてもその本人に「支援者」がいれば、ほとんどの困難は克服できます。しかしながら、逆の場合は不幸な結果になるケースが過半です。(ヘッドハンティングが上手くいかなかった例は、その社内に本当の「支援者」がいなかったことによるケースがほとんどです。)

 理想的には、この「支援者」が社内(上司だけでなく、部下、同僚、別部署の社員までを含む)だけでなく、社外(顧客、仕入先、あるいはキャリアカウンセラーなどの外部の支援者等)にもいるほうが、はるかに好ましいのは言うまでもありません。

 よって、新卒時の入社にせよ、転職時にせよ、独立時やフリーランスになったときにせよ、最初に行うべきは、「支援者」をできる限り作る、もしくは見つけて、それを継続することにあると認識しています。

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