3. ドナルド・E・スーパーの理論(自己概念と職業選択についてⅡ)
「自己概念が不明確もしくは低いものであると、職業選択も不適切であったり不満足なものになってしまう。」
おそらくほとんどの方が同意する定義ではと思います。この文章で、一点、「自己概念」が「低い」とあります。当方の理解では自己概念に「高低」があるとは思えませんが、この文脈では「否定的な自己概念」と言い換えたほうが分かりやすいかと思います。
特に最近、高校、専門学校、大学といった高等教育機関でのキャリア支援やキャリア教育が充実しているようです。ですが、一方でこの弊害も増えているというのが当方が実務を行う上での実感です。
つまり、社会に出る前に「徹底的な自己理解」を施している余り、いざ、実際に社会に出て仕事をすると「こんなはずではなかった」「この環境では自分は活かせない」「自己概念と一致しない」などの理由で、すぐに勤務先を変えようとする方々が多いという弊害です。
無論、自己概念の理解やキャリアの解釈は働く本人の主観で全く問題ありません。が、(ほとんどが会社員として勤務している日本社会では)雇う側からすると、たまったものではないでしょう。加えて、今の時代、ほんの数か月や数年働いたところで、「本質的な」結果の出る仕事や、「本質的に」身につくスキルなど、そうありません。
「職業選択時」においては自己概念の理解は必要ですが、組織や会社でどのように働くか?といった場合には自己理解だけでは不十分でプラスアルファの要素が必要、というのが多くの組織人から教えて頂いた現段階での理解です。